南部鉄器の取り扱い・お手入れ方法
岩手県の名産品、南部鉄器。重厚感のある鉄の重み、長く愛用できる丈夫さ、そして日々道具が育っていく様子を楽しむことができる、一生もののアイテムです。
このページでは、南部鉄器を育てるための、使い始めについてやお手入れ方法などをご紹介します。
南部鉄器の魅力
南部鉄器は、岩手県盛岡市と奥州市水沢の二大産地で作られている伝統工芸品。「鋳鉄(ちゅうてつ)」といわれる厚い鉄の素材でできています。魅力はなんといっても、料理がおいしくなること。高温で表面はカリッと、中は余計な水分を出さずにジューシーに仕上がります。また、優れた耐久性で、長く使い続けることができます。
鉄器を初めてお使いいただく前に
鉄器の使い始めは、まず油ならしが必要です。表面に油をなじませ、薄い膜を作ることで、食材の焦げ付きやサビの防止、鉄臭さを抑えることができます。ここでは、使い初めの油ならしの工程をご紹介。シンプルな工程なので、ぜひお試しください。
※鉄フライパン、ごはん鍋いずれも同じ手順で行ってください。
・食用油
・野菜の切れ端や皮(キャベツ、玉ねぎの皮など、水分の少ないもの)
使い始めとお手入れの動画
手順1.
鉄鍋を水洗いする
蓋・本体を軽く水洗いし、ほこりや汚れを落とします。
手順2.
中火で火にかけ、しっかりと水気を飛ばす
中火で火にかけ、鍋全体をしっかりと乾かします。鍋肌を傷めないよう、空焚きしすぎにはご注意ください。
手順3.
火を弱め、油、野菜を入れ、鍋全体に油をなじませる
火を弱めたら、鍋底を覆うぐらいの油をひき、用意した野菜を入れます。鍋にまんべんなく油がなじむように野菜を炒め、内側や蓋裏にもなじませます。
※このとき、鍋が熱すぎる、かつ野菜に水分が残っていると、油はねを起こすので、やけどに注意してください。
※蓋裏になじませるときは、必ず鍋つかみなどをご使用ください。
手順4.
野菜がしんなりしたら取り出し、冷めてからたわしで洗う
野菜がしんなりし、鍋全体に油がなじんだら、火を止め、野菜を取り出します。鍋が冷めたら、天然素材のたわしで、油をなじませた部分を洗い流します。
手順5.
再度火にかけ、しっかりと水気を飛ばしたら完了
洗い終わったら、サビを防ぐため、再度火にかけ、中火でしっかりと水気を乾かします。ここでも空焚きし過ぎないように注意しましょう。
使用後のお手入れ
鉄器を使い終わった後のお手入れも、とても簡単。ちょっとしたポイントを心掛けることで、鉄鍋により油がなじんでいき、使いやすく育っていきます。
※鉄フライパン、ごはん鍋いずれも同じ手順で行ってください。
手順1.
鉄鍋をたわしで洗う
使い終わったら、天然素材のたわしを使ってお湯で洗い流します。
基本的には洗剤を使用しませんが、どうしても汚れやにおいが気になるときは、無香料の洗剤を適量使用してください。
手順2.
加熱をして、しっかりと乾かす
洗ったら火にかけ加熱し、水分を蒸発させます。乾いた後、鉄器を冷ませば完了です。
もし、手順1で洗剤を使用した場合は、水分を蒸発させた後に油をなじませて保管しましょう。
Q&A
Q 食材が焦げ付いたときの対処法は?
A
たわしで洗っても取れない場合は、鍋で湯をぐつぐつ沸かしてみてください。さらに、重曹を入れて沸かすと焦げ付きが取れやすくなります。
焦げ付かないようにするには、鍋にしっかりと油をなじませてから調理することがポイントです。
Q 鉄器が錆びたときのお手入れ方法は?
A
錆びた部分をたわしでこすり洗いをしたら、使い初めと同様、油ならしをします。油ならしの方法はこちら。
もし、外側や蓋が錆びた場合は、こすり洗いし、水分を飛ばした後に、油を布に染み込ませ、その布でやさしく錆びた部分をすり込んでください。
なお、鉄器は特性上、錆びることがありますが、サビに油をなじませることで使い続けることができます。
Q 使い終わってから、長期保管をする方法は?
A
鍋を温めて油を薄くなじませたら、新聞紙など吸湿性の良い紙に包んで乾燥した場所に保管します。湿気を吸った新聞紙は、時々交換することでサビ予防に。
ただし、使い込むことで油がなじみ、風合いが出てくるので、頻繁にご使用いただくことをおすすめします。
Q 食材に付いた黒い小さなかけら(※1)や、黒ずんだ食材(※2)は、食べても害はないか?
A
害はないため、問題ございません。
※1)カシューナッツの殻から採取された樹脂を原料とした塗料が、強い空焚きなどによって炭化し剥離したもの、あるいは長年の食材の焦げつきの層が剥離したものと考えられます。
※2)タンニンやフラボノイド系色素が多く含まれている食材(ゴボウやレンコンなど)は、鉄分と反応して黒くなることがあります。
Q 錆びた鉄鍋で調理しても、人体に害はないか?
A
真っ赤に錆びた状態での調理は控えてください。よく洗い、油をなじませてから、お使いいただければ、人体に害はございません。
南部鉄器でより丁寧な暮らしを
重厚感があり、上品な趣のある南部鉄器。料理がよりおいしくなる、道具が育つ楽しみを感じられる、そんなちょっとしたうれしい気持ちが、丁寧な暮らしに導いてくれます。日々のお手入れを大切にして、一生ものの道具育てていきませんか。